馬臨床獣医学教育について

獣医師が主に診療を行う動物としては犬や猫などの小動物の他に、牛や馬などの大型動物がいます。しかし、日本で飼育されている動物の数を見ると、犬(約900万頭)、猫(約1000万頭)、牛(約300万頭)に対して馬は約8万頭と圧倒的に少ないため、獣医学部に入学した学生のほとんどが馬に触れたことすらありません。このため、獣医大学の教育でも馬に関する内容は少なく、卒業まで馬に触れずに獣医師となる学生も少なくありませんでした。

とはいえ、馬は紀元前4000年頃から人間と共に生きてきた動物で、産業革命以前は移動や輸送の主役でした。そのため、「獣医療は馬と共に発展してきた」と言われるほど、馬は獣医療にとって重要な動物です。現在でも、欧米を始めとする海外では多くの馬が飼育されており、非常に高度な獣医療が施されていることから、国際的な獣医学教育では馬に関する講義や実習が必須とされています。

本学の馬臨床獣医学教育への取り組み

本学では低学年のうちに学生が馬に触れ、興味を持つことを目指しています。そこで、1年生を対象に、現在の日本で主要な馬の用途である乗馬と競走馬の飼育管理や、それに関わる獣医師の仕事を学ぶ畜産学実習を大和高原動物診療所様、クレイン大阪様と、JRA栗東トレーニング・センター様のご協力のもとで実施しました。ここでは、その実習の様子を紹介します。

乗用馬実習@クレイン大阪

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競走馬実習@JRA栗東トレーニング・センター

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本学では近隣の施設の方々にご助力いただきながら、高学年になってからも、より実践的な馬臨床教育を実施しております。

現在でも実際に馬に触れられる獣医大学は限られており、特に都市部の大学ではほとんどありません。本学では、馬が好きで将来馬の獣医師になりたい学生さんはもちろん、どの道を進みたいかまだ決まっていない学生さんに対しても、幅広く学べる馬臨床教育を提供し、最大限サポートできるカリキュラムを実施しております。